玉川上水の管理計画では、樹木が法面を崩し土壌を流亡させているということになっていて、「悪影響だから」と12年間も伐採が続けられてきました。
では、実際問題、現在の玉川上水はどれくらいのペースで土壌が流亡しているのでしょうか?玉川上水の管理をしている水道局にこの質問をすると、12年間ずっと調査もしていない、ただ管理計画に従って切っているということでした。
1年でどれくらい土壌流亡が進行するのか?は、文化財保存のために重要なことだと思います。1年に1センチなのか?1年に10センチ崩れているのか?もっとなのか?。その程度によって処置の早急や方法が検討されるべきだと思いますが、そのデータは管理者である水道局も持っていないのです。
そこで、三鷹市区域の10か所の撮影ポイントを設け、昨年の春と、今年の春に同じ個所を撮影し、見比べてみることにしました。樹木の根元で、土壌が露出しているところを選定しました。
いずれも、左写真が2021年4月17日撮影、右写真が2022年4月23日撮影です。1年経ってどのくらい変化が見られるのか?




















上記写真を見る限り、土壌の流亡はきわめて微量であると言えると思います。
では、根が露出しているような箇所がなぜあるのか?という疑問がわきます。
関東ローム土は火山灰由来で、アロフィンという粘土粒子を50%ほど含んでいて、水分を含むと結着して強度を増しますが、乾燥すると細粒化して風にも舞い飛びます。
三鷹市の玉川上水沿いに40年以上住まわれている有賀ご夫妻(玉川上水の環境を守る会)の話を聞くと、通水停止から清流が復活するまでの空堀期の後半には、三鷹駅より下流には1滴も水が流れてこなくて、乾燥で上水法面はポロポロだったということです。有賀ご夫妻は空堀期のときに上水に投げ込まれるゴミを拾いあげる活動もされていました。有賀喜見子さんと話すと『1年に1センチ崩れているとしたら、40年で40センチ崩れるはず、だけどそんなに形状が変わってはいない』と聞きました。
総合的に考えると、根が露出した部分などは見た目はいかにも流亡し続けているように見えますが、流亡はおもに空堀期の極度の乾燥期に起こったもので、その後清流復活により水流が戻ると法面に水分がしみ込んでいき、強度を増し、現在ではほとんど流亡していないといえると思います。
もし、この説が間違いだと言うならば、正確な測定をして根拠を示して欲しいと思っています。
関東ローム土である玉川上水法面を末永く保存するためには、乾燥させないことが重要で、樹木を切るのではなく、上部の樹林帯を維持し、法面を落ち葉か植物が覆う状態を作ることがもっとも効果的だと思います。
上部の樹林は雨の直撃を避ける雨傘の役目と、日光が入り込んで乾燥するのを防ぐ日傘の役目を担っています。
法面に落ちた落ち葉は、雨の直撃を防ぐレインコートの役目と、冬の降霜を防ぐダウンジャケットの役目と、保湿して法面の強度を上げるパックの役目を担っています。
