東東京大会予選で息子が出場した試合の対戦相手は「みんなのがんばりをみんなで応援することは授業の一環である」という考えを持つ私立校でした。1回戦からブラスバンドやチアリーダーなども出て、在学中の学生も大勢集まり、ハデに応援する学校でした。
一方、息子の学校はまだ歴史の浅い都立高校で、月曜日だったので野球部以外は普通の授業があり、ブラスバンドもチアリーダーも来ません。スタンドではベンチに入れなかった1年生の部員がたったひとりでメガホンで応援していました。
「次の打者は田中先輩です。応援お願いします!」と言い「パラパーパラパー」と口でトランペットをやっての応援。集まった父兄も、どのタイミングで「カットバセー、タ・ナ・カ!」を言ったらよいのかわからず、かなりショボイ応援でした。
試合が終わった後、その「ひとり応援団くん」は「みんなで校歌を歌います。よろしくおねがいします!」と言って校歌を歌い始めたのですが、途中で涙が溢れてきて、声が詰まり、途切れ途切れの校歌斉唱でした。
それを見て私は「コイツも野球が好きなんだなぁ」と思い感動しました。息子に後で聞いたら、彼はロッカールームに引き上げてからも引退する3年生の先輩たちに「お疲れさまでした」「お疲れさまでした」と言いながらずっと泣きっぱなしだったそうです。
神宮球場のスタンドで、汗を流し、顔を真っ赤にして必死に応援していたひとり応援団くんは、人数も音圧も相手に負けていたけれど、応援する心はけして負けていなかったと思いました。野球が与えてくれる感動はたくさんあるけれど、勝ち負けとか、スーパープレーとかではなく、全身全霊で戦う心、それを応援する心、そういった心こそが野球のすばらしさなのだと改めて思いました。
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